テント写像(4) リアプノフ指数

テント写像(3) 分岐図 - ken2kent's diaryでは,分岐図を作成し,aが0~1では0に収束し,1~2では2に近づくにつれてカオス的振る舞いが増大することを視覚的に確認した.

視覚的にではなく数値的にカオス的振る舞いの度合いを表す指標はないのだろうか.

 

今回は,その指標として,リアプノフ指数を導入する.

 リアプノフ指数:

\(x_{n+1}=f(x_n)\)という力学系について,近接した2点から出発した2つの軌道{\(x_n\)}がどれくらい\(n \to +\infty\)のとき離れてゆくかを測る尺度であって,

\[\begin{array}a\lambda (f) &= & \lim_{N \to + \infty} \frac{1}{N}\log\frac{df^N(x_0)}{dx_0}\\&=& \lim_{N \to + \infty} \frac{1}{N}\sum_{i=0}^{N-1} \log|f'(x_i)|\end{array}\] 

と定義される. 

             山口,カオス入門,p20,朝倉書店,1996.

 テント写像の場合

\[ \lambda = \log a\]

となり,リアプノフ指数は,aが[0,1]区間で負の値となり,[1,2]で正の値となる.

前回の考察と合わせると,リアプノフ指数が正の場合はカオス的振る舞いをすると考えられる.

 

参考文献

カオス入門 (カオス全書)